2007年12月27日

世相、世論。

年末になると、今年の重大事件などが特集されたりします。今年も衝撃的な事件が数多くあったわけですが、色々あった事件に関してのことには、さておき、私は、報道機関をはじめとしたマスコミのあの態度には、ちょっと憤りを感じたりします。
 例えば、少年犯罪などについて考えた時、真正面から取り上げつづけたものを私は見たことがありません。マスコミは興味本位の視点で視聴者を刺激しつづけるだけに終始し、視聴者に対して、解決策や、己のきちんとした意見を提示することも出来なかったのです。あの、事件は氷山の一角にしか過ぎず、それをきっかけに社会が成長する機会を逃したことは非常に残念でなりません。
 世論、世相が社会を変えていくのも事実ですが、他人事のような視点で見つづける以上、一般の人々であろうが、政治家であろうが、裁判官であろうが社会を変える動きなどつくれそうにありません。悲しいことです。きっとこのことも、何年かするうちにすぐ風化してしまうのでしょう。
 世相と言えば、ソビエト崩壊後のロシアも、かなりのもののようです。当時はオケマンが大量に給与の未払いなどで生活できなくなり、ストリートでジャズを演奏して稼いでいた、と言う話も聞きます。そのジャズは劇ウマだったとか。そう、当然、一流のミュージシャンだったからです。
 そこで今日の一枚。今日の展覧会の絵は

ウラジミール・フェドセーエフ指揮/モスクワ放送交響楽団
ハチャトゥーリアン「仮面舞踏会」、「スパルタクス」
シベリウス「フィンランディア」
ビクターエンターテイメント VICC-2167

この演奏はソビエト崩壊の約2年前のもの。全編にわったってロシア風味な演奏です。私のイメージなのですが、現在のロシアのオケというのは少しずつ、インターナショナルな響きに変わりつつあるのではないかと思うのですが、この演奏の響きはまさにロシアっぽい響きです。ただ、以前紹介したスヴェトラーノフの演奏に比べると豪快さには多少かけるものの、その分、演奏に緻密な点も見られます。フェドセーエフと言う人はソビエトの民族音楽団の指揮者を勤めていたこともあり、そのためにロシア風味を濃く感じるのかもしれません。
演奏は秀逸です。テンポ感にはかなり独特のメリハリがあります。速い部分はそれなりに速いテンポだったりするのですが、遅い部分や、リタルランドが極端に遅かったり、アチェルランドが強烈だったりします。サックスの古城のソロは音色も美く表現もすばらしいのですが、ビブラートは古いロシア風のビブラートです。(少し前時代的ビブラートに感じます。)古城はサックスのソロよりも、フルートの太い音色に感激しました。キエフの前は開けずにそのままなだれ込むスタイル。あと、ババ・ヤーガ-ではホルンのVib.が聞けておもしろいです。
 中庸な大きさのキャンバスに全体に色の暗めの油絵の具でしっかりと書かれたメリハリの強い絵のように感じます。
 スヴェトラーノフよりもよりまとまりのあるロシア風味を聞きたい方にオススメの一枚です。


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