2008年07月07日

メジャーであってマイナー。

 数年前に、テレビで吹奏楽コンクールのことが紹介されて、吹奏楽のの認知度も少し上がったようです。
さて、吹奏楽の世界では、いまだにオーケストラの曲からのアレンジが数多く存在するわけですが、その中に吹奏楽では有名でもオーケストラの世界では非常にマイナーな曲というのがいくつか存在します。吹奏楽コンクールでいくつもの学校が取り上げている曲が、実はオーケストラの世界ではほとんど取り上げられることのない曲であったりすることもしばしば。
同じ音楽の中にありながら、隣接するようなジャンルでありながら、一方ではメジャー、一方ではマイナーという不思議な現象が起こったりします。

そこで今日の一枚です。


メジャーであってマイナー。

Belkis, Queen of SHEBA & Metamorphosen
指揮:Simon, Geoffrey
Philharmonia Orchestra
Chandos  CHAN-8405(輸入盤)

このCDはレスピーギの「シバの女王ベルキス」の原曲の組曲版が収録された数少ないCDの一枚です。私の知る限り、このCDを含めこの曲は2種類の演奏しかリリースされていません。一緒に12旋法によるメタモルフォーゼという曲が収録されています。
 おそらくこの「ベルキス」はオケの曲としてはものすごくマイナーな曲なのでは無いかと思います。吹奏楽コンクールなどで取り上げられて、逆によく聞かれるようになるという皮肉な現象が時々起こることがありますが、これもその中の一曲といえるかもしれません。ちなみに元のバレエ曲の方は上演するのに1000人以上の出演者を要する大作です。
 曲の方はレスピーギらしいオーケストレーションの曲で、旋律にも所々ローマ三部作を思わせるような部分もあります。録音の方も比較的広いレンジで捕らえられていて割合秀逸です。
 ただ少し残念なのは演奏がよく練られた演奏とはいえないところでしょうか。部分的には管楽器の飛び出し、弦楽器の不安定さを感じる部分が無いとはいえません。リズム的にもしっかりとアインザッツをあわせることが必要な部分が多いのでアンサンブルとしての力量と、練習量が試されるかと思いますが、個人的にはもう少し頑張って欲しかったとも思います。
 とは言え、聞くに堪えない、という演奏ではなく、十分に楽しめ、また数少ないオリジナルの録音としての資料的価値もあります。
 吹奏楽コンクールなどでベルキスに思い出の深い方、レスピーギのローマ三部作以外の曲を聴いてみたい方にオススメの一枚です。



同じカテゴリー(今日の一枚)の記事画像
指輪物語、その7。
指輪物語、その6。
指輪物語、その5。
指輪物語、その4。
指輪物語、その3。
指輪物語、その2。
同じカテゴリー(今日の一枚)の記事
 今までに紹介したCD、その7。 (2011-01-12 22:58)
 今までに紹介したCD、その6。 (2011-01-11 23:28)
 今までに紹介したCD、その5。 (2011-01-10 23:07)
 指輪物語、その7。 (2011-01-09 22:28)
 今までに紹介したCD、その4。 (2011-01-07 23:01)
 指輪物語、その6。 (2011-01-06 23:29)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
メジャーであってマイナー。
    コメント(0)