2008年07月01日

下戸。

さて、私自身は下戸で一滴も飲まないのでほんとにお酒のことはわかりません。匂いをかぐだけで気分が悪くなるほど酔っ払います。(冗談ではなく)なので、お酒を買うときは人が美味しいというのを信用するしかないのも事実。自分で味見することは出来ると思うのですが、そのあと、何も出来なくなると思います。デパートなんかの試飲コーナーで喜んで飲んでいる人を見るとちょっと不思議な感じさえします。下戸なので損をしているのかはたまた酒代がかからないので特をしているのか。
 でも酒の楽しさが少しでもいいのでわかってみたいと思ってあこがれることも有ります。
そこで今日の一枚です。


下戸。

ストックホルム・シンフォニック・ウインド・オーケストラ
CAPRICE CAP-21384

このCDはスウェーデンのストックホルム・シンフォニック・ウインド・オーケストラの演奏の録音です。それぞれの曲を違った指揮者が指揮しており、このCDでは合計4人の指揮者が4曲を指揮しています。ところがこのストックホルム・シンフォニック・ウインド・オーケストラは残念ながら数年前に経済上の理由で解散してしまっています。この録音にはF.シュミットの「ディオニソスの祭」、I.ストラヴィンスキー「ピアノと管楽器の為の協奏曲」、ナウマン「シンフォニックウィンドオーケストラの為のファンファーレ作品25」、A.ドヴォルザーク「セレナードニ短調B77作品44」と言った作品が収録されています。
 ディオニソスとはギリシャ神話での酒と演劇の神の子とです。ギリシャにはディオニソス劇場というものが遺跡として残されています。ギリシャの古代都市にはアクロポリスと劇場が必ずといっていいほどあリましたが、古代アテネの劇場はこのディオニソス劇場だったといわれています。劇場の歴史は紀元前6世紀と古く、1万5000人の観客を収容できる大きな劇場でした。観客席の最前列は貴賓席となっていたようですが、ローマ期に大改築されたので古典期の姿はあまりとどめていないようです。今でも背もたれのある大理石の席が残っているということです。
 で、この演奏のギャルドとの一番大きなちがいはなんと言っても「編成」でしょうか。以前のギャルドの編成はサクソルン族を多用し、クラリネットが大量に存在するといった今ではあまり見られない編成でした。当時のフランス圏の楽団はこれが標準的だったようで、現在でもベルギーのギィデ吹奏楽団などはこの名残があるようです。しかしながら、ギャルドは近年大幅な編成改変のため他のアメリカの吹奏楽と変わらない編成になっています。
 当然、編成が違うということで代替楽器での演奏や編成の圧縮というものが行なわれています。実際、聞いてみると、昔のギャルドのものに比べてモダンというか、現代的な響きのようにも思いますが、編成の小ささもあってか、音の重厚さは少し失われている気はします。一概にどちらがいいとは言えないのですが、昔のギャルドの方がよりオーケストラに近い響きだったのかもしれません。
 とは言え、現在、吹奏楽コンクールなどでは間違いなくアメリカンスタイルの編成で演奏されています。そういった意味ではこの録音はある意味時代としては正しく、貴重なものなのかもしれません。
 ディオニソスの酒宴が演奏されている曲なのですが、果たしてどちらの演奏がよりそれを表現しているのかと聞かれると答えには困ってしまいます。酒を飲んだ時の気持ちよさや、気持ち悪さは下戸にはなかなか理解できないのでしょうか?(笑)
 ディオニソスの祭を聴いてみたい方、編成の違いをギャルドと比べてみたい方にオススメの一枚です。


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