2008年01月07日

異端派か正統派か。

この記事は2004年3月22日に書かれた記事を加筆修正したものです。 


 話は以前、東京に行った時の話になりますが、ヤナギサワクロシュにて、シルバーソニックのアルトサックスを試奏させてもらいました。当時、何を隠そう、私のアルトサックスは7、8年前にオーバーホールして以来、ほとんど調整と言うものをしていないので、現在かなりのガタがきていました。キーノイズ出まくり、音程最悪、音によっては音抜け最悪というつまりは全体的に最悪な楽器と化していました。先日、やっとのことでオーバーホールに出しましたが…。新しい楽器が欲しいものです。予算はありませんが…。ソプラノはヤナギサワ製のシルバーソニックを気に入って使っているので、アルトも次はシルバーだ!と思っているので、試しに一度吹いてみたくなり、東京に行くついでに試奏を依頼しました。しかし、私の周りではヤナギサワユーザーが比較的少なく、また、シルバーソニック使用者が私だけと言うこともあってかなり異端視されたりします。アルトはセルマーユーザーなのですが、マウスピースはバンドーレン(事情により、セルマーに戻しましたが、)使用、リガチャーはマルタンシャヌーと言う誰も知らないようなメーカー、リードはバンドーレンの4番使用と、他の人から見るとかなり異端の道を進んでいます。(わからない人、マニアックな話ですみません)しかし、私は決して異端だとは思いたくないのです。確かに珍しいことをやっていますが、目指すものは他の人と大して変わりありません。ただ、やり方、進んでいる道が少し違うだけなのです。もちろん、他人に迎合せず、自分の良いと思うものはこれからもどんどん採用していきたいと思っています。正統派と言いますが、本とは最終の到達点が正統であれば、やり方は異端だっても最後は正統派になりえると思うのですが。そして、異端が次の時代をつくり、正統派となることも良くあることのような気もします。
長々、ゴタゴタと書いてしまいましたが、さて、そこで今日の一枚。

東中/東京中低域
水谷紹、吉田隆一、後関好宏、松本健一、鬼頭哲、田中邦和、上幸一郎、川口義之、小田島亨、鈴木広志、
真鍮レコード SCR-001

このCDは中低域、その名の通り、バリトンサクソフォーン11本による演奏。一流のジャズバリトンサックス奏者による共演です。私のイメージとしてはベルリンフィルの12チェリステンのサックスでなおかつジャズバージョン、といったところでしょうか。この東京中低域はアルバムを現在4枚リリースしており、これはその2枚目のアルバム。モノクロのペーパージャケットに入ったCDです。
バリトンサクソフォーンという楽器は吹奏楽の世界ではどちらかと言うとチューバなどの付属品、バスクラの邪魔をする楽器、などと思われがちですが、実はアルトサックスに負けない機動性と木管、金管、アンサンブル、ソロ、どれにも対応できる多様な音色と双方を持っている楽器なのです。
 一見、グロテスクな音を想像しがちですが、意外にポップで軽やかな音を聞かせてくれます。確かに音域は狭く常に低いところでなっていますが、それが、グロテスクさよりも味となって不思議な雰囲気を作り出しています。バリトンサックスが決して伴奏楽器ではなく、ソロ楽器でもあることを思い知らされるCDでもあります。
私のお気に入りはキャラバン。jazzでよく耳にするこの曲も東京中低域にかかるとすさまじい物になります。
バリトンサックスを吹いている方は必聴、ピアノレス、パーカスレスなjazzアンサンブルを聞いてみたい方、低音マニアな方にもオススメな一枚です。

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