2008年08月10日

自分に腹が立つ、楽器を叩きつけたくなる瞬間。

今日もよい天気です。昨日は少し雲が広がり、そのためか、少し涼しくなりましたが、逆に蒸し暑くなった気もします。
 州崎寺に向けての、そして秋のアンサンブルコンサートに向けての練習も佳境に入ってくる時期ですが…。
 さて、 楽譜に書いてあることは、作曲者や編曲者としてはやってほしいことを記号化して書いているので、そのとおりやらなければならないのですが、作曲家や編曲者によっては、楽器の特性を理解していないと思われる楽譜を平気で書いてしまう人もいます。この楽器の特性を理解している、いないは、吹ける、吹けないのレベルの話ではなく、最終的には楽器を効果的に鳴らす、あるいは響きや効果を際立たせる、というところにかかわってきます。サックスという楽器は吹奏楽をやっている人にはなじみが深いのですが、オケやピアノ一筋で来た人ににとっては未知の楽器だったりします。あの、ラヴェルやドビュッシーでさえ、サクソフォーンの音域や特性を理解していなかったと言われています。もっとも、時代が時代だったので、仕方ない、と言えるのかもしれませんが。
しかし吹けないところがあると、自分で自分に腹が立ってきます。テンポを落としても、指が引っかかる、テンポを上げていくと、指が転ぶ…。最初のうちはがんばって根性入れてやってますが、同じところを一時間、二時間の長丁場でできるまで繰り返しやろうとすると、頭がおかしくなってきます。そのせいでなおさら吹けなくなったり、しまいには、楽器をたたきつけてやりたくなってきます。もちろん実際にたたきつけたりはしないのですが、一回、ほんとにたたきつけられたら、すっきりするだろうなー、と思ってしまいます。
まだまだ、私は修行が足りないのかもしれません。
 そこで今日の一枚です。


自分に腹が立つ、楽器を叩きつけたくなる瞬間。


ムソルグスキー《展覧会の絵》、《はげ山の一夜》他
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
フィリップス(ユニバーサル・クラシック)UCCP-1053

このCDはゲルギエフとウィーンフィルによるムソルグスキー作品が収録されたものです。。展覧会の絵、ホヴァンシチナ前奏曲、はげ山の一夜、ゴパック、が収録されています。ジャケットを見て思うのですが、ムソルグスキーは、極端に原曲が演奏される機会の少ない作曲家では無いでしょうか。実際、展覧会の絵でも、元はピアノ曲にもかかわらず、いつの間にかラヴェルの編曲したオケ版のほうが多く演奏されるようになってしまい、はげ山の一夜もリムスキー=コルサコフが手をくわえたものが通常演奏されています。
 はげ山の一夜は原典版も聞いたことがありますが、そちらのほうが、さらにおどろおどろしく、洗練されていないイメージでした。最後の夜明けの部分も存在しません。あれは後で、リムスキーが補筆して書き加えたものです。
  さて、このCD多分、メインは「展覧会の絵」なのでしょうが、この展覧会の絵は割りと、テンポが早めに取られています。あと、盛り上がりの激しさも、かなりのものです。部分的には粗さを感じなくも無いのですが、それはそれで、味ともいるかもしれません。キエフの大門の前は隙間がなく続けられています。また、古城は他がテンポが速めな割にはゆったりとしたテンポとりがなされています。キエフの例の二分音符は一続きの旋律に扱われていますが、ティンパニの強奏によって分断されているようにも聞こえます。特筆すべきはやはりウィーンフィル独特の弦の響きと、ホルンの響きかもしれません。熱い感じの展覧会です。
 ムソルグスキーの作品を聞いてみたい方、熱い展覧会を聞いてみたい方にオススメの一枚です。


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